バス運転手の将来性はあるのか?運転手として転職を考えている方にとって、気になる点かもしれません。バス業界の状況をまずは知ることも大切です。将来的に需要が無くならないかも考えた方がいいでしょう。バス運転手の将来について、さまざまな点から解説します。ぜひチェックしてみてください。
バス運転手は需要が高い状態といわれています。理由は複数ありますが、ひとつは高齢化社会によりバスを移動手段にする方が増えているためです。また、バス運転手といっても路線バス、観光バス、企業専用などさまざまな形態があります。
インバウンド需要で外国人観光客が日本に魅力を感じて来日する人も増えてきました。バス運転手の中では特に高速バスになりたいという方も多いです。路線バスでは女性運転手もみられるようになっています。基本的に、バスの需要がある限り業界は安泰といえるでしょう。
ただし、バス運転手の需要はあっても人手不足は叫ばれています。人手不足のために運転手1人にかかる負担が問題視されているのです。休日の少なさについても問題でしょう。バス運転手は確かな需要はありますが、人手不足で1人の負担が増えて厳しい労働環境になっているといえます。
バス業界で人材が不足している原因には、次のようなものがあります。
バス業界におけるドライバー不足が深刻な問題になり始めたのは、2011年頃からです。当時は、東日本大震災の復興特需でトラックドライバーに転職する人が増え、反対にバスドライバーの数は減少しました。そしてその後、2014年頃から製造業の国内への拠点回帰が始まるにつれて、バス・トラックを問わずあらゆる業種でドライバーが不足し始めます。
こうした状況は、現在においても変わっていません。それどころか、2000年に行われた貸し切りバスに関する規制緩和から、事業用バスの総数は今日まで増え続けており、それに伴ってバスドライバー需要も着実に増え続けています。バスドライバー不足はますます深刻な状況にあると言っていいでしょう。
少子高齢化を背景に、国内の労働人口数がそもそも減少傾向にあることも、バス業界のドライバー不足に拍車をかけています。
運送業を始めとして、他の業界との人材の取り合いは激化しつつあり、バスドライバーになりたい人は数は相対的に減少しています。
さらに、2012年の関越自動車道での高速バスの事故や2016年の国道18号でのスキーバスの事故、2022年の静岡県牧之原市での幼児置き去り事件など、バス業界全体のイメージダウンにつながるような大きな事故が相次いで起こったことも、ドライバー不足の原因の一つです。
今後もバス運転手の需要は下がらないと考えられています。高齢者が増えて超高齢者社会になると、バスの需要も増えるためです。年齢により免許返納を選択する方も増えてきました。自転車で移動するのも限界があります。結果、移動手段はバスやタクシーになるのです。
AIが発展し、安全性が確保された自動運転ができるバスが登場すれば多少は影響があるかもしれません。ただ、自動運転が成立しても人の手が必要な部分はあります。AIによる自動運転が進んでも、バス運転手の需要が一気に下がるのは考えにくいのです。
観光客の移動手段としてバスは一般的ですし、輸送バスの需要もあります。物流会社の倉庫や製造工場などは駅前ではあまり見られません。その場合、従業員を乗せる輸送バスが必要となり、当然ドライバーも求められます。このような点からバス運転手の需要が下がるのは考えにくいのです。
結論からいうと、バス運転手は安定して働ける仕事といえます。特に都市部では、移動手段がバスという方も多いでしょう。国内外の観光客もバスを移動手段にしている方はたくさんいます。長距離の高速バスや夜行バスは飛行機や新幹線よりもリーズナブルな価格で遠距離を移動できるのです。
また、AIが発達し自動運転するバスが登場しても人の手から完全に離れるわけにもいきません。安全性と信頼性でいえばやはり人間のドライバーは必要です。超高齢化社会になるほど、バスの需要は高まります。そのためバス運転手は将来的にも安定して稼げる職業といえるでしょう。
また、実際にバス運転手として働く上で、バス会社を選ぶ際も安定性は欠かせないポイントです。下記ページでは、多くの方が重視する会社規模・給料・福利厚生に沿って、 愛知県でおすすめのバス運転手の会社をまとめているので参考にしてみてください。
ドライバー不足に苦しむバス業界ですが、人材確保・育成のために各企業が様々な取り組みを行っています。そうした取り組みの一部を紹介します。
茨城交通では採用窓口に専用の女性スタッフを配置し、子育てと両立できるようにスクールバスをメインにシフトを組み、営業所に女性職員専用休憩室や女性専用トイレを設けるなど、女性バスドライバーが働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
そうした努力のかいもあり、茨城交通では現在16名の女性ドライバーが活躍しています(2023年11月17日時点での情報)。また、ホテルや美容院といった他業種からの転職の問合せも増えたとのことです。
バスを運転するためには大型2種免許の取得の取得が必要ですが、大型2種免許は21歳にならないと取得できません。そうした事情から、これまで多くのバス会社では、即戦力となる人材確保を優先するために高校の新卒は採用しないのが慣例となっていました。
しかし、京成バスでは、2018年から高卒を含む新卒の採用を積極的に行っています。入社時点で18歳の新社員は、京成バス独自の補助制度を利用して大型2種免許の取得の準備を進めつつ、事務業務や電話およびイベントでのお客様対応業務などを担当します。
会社はドライバーとして長く働いてくれる貴重な人材を確保することができ、新人社員は入社直後に養った事務スキルを活かして将来的には運行管理者や管理職に就くことができるという、正にwin-winな取り組みです。
国際興業では、60歳を過ぎても現役ドライバーとして活躍したいスタッフの要望に応えるために、2019年4月に定年退職の年齢を60歳から65歳に引き上げました。またそれと同時に、それぞれのスタッフが自由に選ぶことが出来る以下の4つの働き方プランを制度化しました。
この新しい取り組みによって、国際興業はドライバー不足問題を解消し、さらに、ベテランドライバーのノウハウ継承もよりスムーズになったということです。
国際興業株式会社では、「狭い運転席のスペースで紙の運行表を見ることにかなり負担がある」という声に対し、電子スターフを導入しています。これは、運転席に設置したモニターでも運行表を確認できるというシステムで、紙の運行表と併用することで乗務員の負担を軽減することが狙いです。
静岡県のしずてつジャストライン株式会社では、特に女性運転士の採用に力を入れています。同社では2015年から女性運転士の採用枠を強化するために、フリーペーパーへの掲載や専用Webサイトの開設、地元新聞への募集広告の掲載、テレビCMなど様々な方法で女性運転士を募集した結果、40名以上の女性運転士が活躍するタクシー会社となりました。
広告だけでなく、応募のハードルを下げるために女性担当者による個別説明会の開催なども行うことで、女性が運転士の業務に挑戦する機会を増やしています。
安全に運転士業務をこなすことができるようになるためには研修が欠かせません。しずてつジャストライン株式会社では、自社内施設「安全研修センター」を設け、入社後は2~3か月間という十分な時間を割いて十分な安全運転技術を習得できます。
研修終了後は先輩社員からマンツーマンでの指導を受けられるので、運転技術の向上に加えてプロ意識を身につけることもできます。
採用に力を入れているのは女性運転士だけではありません。男女問わず運転が好きな人、得意な人をターゲットとして人材募集を行っています。また、常に労働条件を改善して働きやすい環境を整えているので、ドライバー希望の方はこまめに求人をチェックしてみましょう。
兵庫県の株式会社ウイング神姫では、特に人材確保と育成に力を入れています。タクシードライバーは中途採用が多いですが、新卒者や女性の採用枠も強化。同社では20年前から人材確保を重視しており、女性ドライバーが8名努めているほか、介護施設の送迎バス経験者や、トリマーから転職してきた人もいることから、さまざまなところから人材を確保していることがわかります。
同社は進行していく高齢化社会にも対応するべく、定年のラインの引き上げにも対応しています。通常は60歳で定年となるところを、家族の同意や健康診断の結果などの条件をクリアすれば70歳までの延長勤務も可能です。
広島県の広島電鉄株式会社では、より柔軟に各々のドライバーのライフスタイルに合わせた労働形態を実現するために、短時間正社員制度を導入しています。育児や介護、加齢に伴う体力的な理由などを鑑みたうえで、正社員のままで空いた時間で無理なく勤務できる環境が整っているので、子育て中の人やセカンドライフ組などにも広く門戸が開かれていると言えるでしょう。
この制度は2017年9月に導入されてから、約120名の社員によって利用されています。このことからも、この制度によってより柔軟な働き方を実現していることがわかるでしょう。
短時間正社員制度に加えて、広島電鉄株式会社ではシニア社員制度も導入しています。この制度は、経験豊富なベテラン社員と短時間正社員が相互にフォローして働けるようにする制度で、ベテラン社員はその経験を活かしてほかの社員をフォローしていくポジションとなります。
広島電鉄株式会社では、短時間正社員制度とこのシニア社員制度を両輪として、採用枠を強化するとともに、さまざまな年代が働きやすい環境を構築しています。
改善基準告示改正で労働時間改善のため、西鉄グループバスは勤怠管理システムを構築。一定のスパン単位や週単位などのチェックを行っていくことで、改正後の基準告示に合わせた労働管理に努めています。
トラックの運転手のような経験者を即戦力として採用していたところを、養成自動車運転士として高校生の採用募集が行われています。高齢化の課題に加えて乗務員不足や労働時間の改善につながるようにと2015年から開始。実際に特例教習を受けて路線デビューした方もいます。
転職を考える上で考慮すべきポイントはたくさん。愛知県でバス運転手への転職を検討しているなら、企業規模と給料と福利厚生に注目することが、本当の安定性に繋がります。おすすめの3社を厳選しました。