物流の2024年問題は、1997年依頼に大幅な改正が行われる「改善基準告示」により注目されています。バス運転手に大きく影響する物流の2024年問題について、これからバス運転手を目指している方はチェックしておきましょう。
改善基準告知とは、正式には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」といいます。タクシーやトラック、バスといった自動車運転者について、労働時間などの労働条件を向上させるために、1989年に制定されました。
改善基準告示はすべての事業に共通して適用される労働基準法では規制が難しい、運転業務特有の拘束時間・休息時間・運転時間などの基準を定めています。しかし実際には改善基準告示の違反率は高い水準にあり、バス運転手をはじめとして自動車運転者として働く労働者の労働時間・労働環境の改善は急務です。
改善基準告示は2022年12月23日に改正され、実際に適用されるのは2024年4月です。対象となるのは、会社に雇用されている4輪以上の自動車運転業務を行っている従業員となっており、バス運転手も該当します。
違反による懲役や罰金という直接的な罰則はありませんが、労働基準監督署の監督・指導や国土交通省の行政処分を受ける可能性があります。
物流の2024年問題は、改善基準告示の改正をきっかけに発生した問題です。具体的には、自動車運転者の労働時間に罰則付きで上限が設定される、割増賃金が引き上げられることで会社の売上や利益が減少して自動車運転者の収入減少・離職が生じるなども問題が懸念されています。
バス運転手として働く側も問題をしっかりと理解しておかなくてはいけません。
改善基準告示の改正により、バス運転手の働き方も大きく変わることになります。では実際にはどのような点が変更となるのか、拘束時間・休息時間・運転時間の3つの変更点を見ていきましょう。
拘束時間とは、始業から終業までの休憩時間などを含めた時間のことです。バス運転手の1日の拘束時間は、改正前と変わらず13時間と据え置かれました。
しかし、最大16時間となっていた拘束時間の上限は1時間短い15時間と設定され、拘束時間14時間を超える回数は週3回までを目安とする、さらになるべく少なくするように努める、という基準が盛り込まれています。
さらに年間の拘束時間の上限は3380時間から3300時間へ、1ヶ月の拘束時間は月281時間へ、4週平均の拘束時間は52週で3300時間以内・4週平均で1週65時間以内と定められました。
休息期間は、業務が終了してから次の業務開始までの時間のことを指します。勤務インターバルのことです。改正前は継続して8時間以上とされていましたが、改正後は1日あたりの休息時間は継続で11時間以上与えるように努めることを基準としており、原則として9時間を下回らないようにと定められました。
参照元:【PDF】厚生労働省「バス運転者の改善基準告示が改正されます!」
(https://www.mhlw.go.jp/content/001035029.pdf)
バス運転手には、改正により運転時間にも制限が設けられます。運転時間とは実際にハンドルを握って運転をしている時間のことで、運転時間が長時間に及んでいると、心身の疲労によって注意力が散漫になります。結果として事故の危険性が高まることから、リスクを減らすために制限が設けられることになりました。
2日(始業時刻から起算して48時間のこと)を平均した1日あたりの運転時間を9時間以内に定めた基準です。
2日平均1日の運転時間の計算方法としては、特定の日を起算日として2日ごとに区切り、その2日の平均を算定。特定日の運転時間が改善基準告示に違反するかどうかは、次のいずれもの平均が9時間を超えた場合に初めて改善基準告示違反として判断されます。
「いずれもの平均が9時間を超えた場合」というのが重要で、どちらかの平均が9時間以内であれば、改善基準告示違反にはなりません。
4週平均1週の運転時間は、原則として4週間を平均した1週間あたりの運転時間を40時間以内に定めた基準です。例外として貸し切りバス等の乗務者については、労使協定によって52週のうち16週までは52週の総運転時間が2,080時間を超えない範囲内において、4週平均1週の運転時間を44時間まで延長できます。
4週における総運転時間を算定する場合、特定の日を起算日として4週ごとに区切り、その4週ごとに平均を計算します。労使協定によって運転時間を延長する場合でも、52週までの各4週平均1週がすべて上限値(40時間×36週および44時間×16週)だと、52週の総運転時間が2,080時間を超えて改善基準告示違反となるので注意しましょう。
改善基準告示では、連続運転時間を原則4時間以内と定めています。運転開始後から4時間以内または4時間経過直後に、運転を30分以上中断して休憩などを確保しないといけません。運転の中断は1回を連続10分以上としたうえで分割することもできます。
高速バス運転者および貸し切りバス運転者が高速道路等(実車運行区間に限る)を運行する場合は、高速道路等における運転時間(夜間における長距離の運行を行う貸し切りバスについては高速道路等以外の区間における運転時間も含む)は、おおむね2時間までになるように努める必要があります。
例外として、軽微な移動を行う必要が生じた場合は、それらが生じたことに関する記録がある場合に限って、軽微な移動のために運転した時間30分を上限に連続運転時間から除くことが可能です。軽微な移動とは、消防車・救急車等の緊急通行車両の通行または他車両の通行の妨げにならないよう、駐車または停車した車を予定された位置から移動させることを指します。
災害や事故等の予期し得ない事象によって運行に遅延が生じた場合、改善基準告示の適用となる1日の拘束時間・運転時間(2日平均)・連続運転時間から予期し得ない事象への対応時間を除くことができます。予期し得ない事象への対応時間とは、以下の1・2の要件を満たす時間のことです。
1.次のいずれかの事象によって生じた運行の遅延に対応するための時間であること
※「通常予期し得ない」ものであることが条件となり、平常時の交通状況等から事前に発生の予測が可能な道路渋滞等は該当しません。
2.客観的な記録によって確認できる時間であること
以下の①の記録に加え、②の記録によって予期し得ない事象が発生した日時等を客観的に確認できる必要があります。①の記録のみでは、客観的な記録によって確認できる時間とは認められません。
①運転日報上の記録
②予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料
業務の必要上、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与えるのが困難な場合、一定期間(1ヶ月が限度)における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることが可能です。休息期間を分割する場合は1回あたり継続4時間以上、合計11時間以上とする必要があります。休息期間の分割は2分割のみで、3分割以上は認められていません。
1台の自動車にバス運転者が同時に2人以上乗務する場合、車両内に身体を伸ばして休息できるバス運転者専用のリクライニング方式の座席が1席以上確保されているときは、拘束時間を19時間まで延長および休息期間を5時間まで短縮することが可能です。
例外として、次のいずれかの要件を満たす場合においては、拘束時間を20時間まで延長、休息期間を4時間まで短縮できます。
業務の必要上やむを得ない場合、2暦日の拘束時間が21時間未満および勤務終了後に継続20時間以上の休息期間を与える場合に限り、バス運転者を隔日勤務に就かせることができます。
例外として、事業場内の仮眠施設または使用者が確保した同種の施設において夜間に4時間以上の仮眠を与える場合、2週について3回を限度に2暦日の拘束時間を24時間まで延長することが可能です。ただし、2週における総拘束時間が、126時間(21時間×6勤務)を超えることはできません。
隔日勤務特例の適用は業務の必要上やむを得ない場合に限られ、日勤勤務と隔日勤務を併用して頻繁に勤務形態を変えることは改善基準告示違反となります。
バス運転者が勤務の中途でフェリーに乗船する場合、フェリーに乗船している時間は原則として休息期間扱いとなり、与えるべき休息期間の時間から減算することができます。ただし、2人乗務の場合を除き、減算後の休息期間がフェリー下船時刻から勤務終了時刻までの時間の2分の1を下回ってはいけません。
フェリーの乗船時間が9時間(※)を超える場合は、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始となります。ちなみにフェリーに乗船している時間に労働時間が発生した場合は、拘束時間として取り扱う必要があるので注意しましょう。
※2人乗務の場合は5時間(2人乗務の例外が適用される場合は4時間)、隔日勤務の場合は20時間。
休日の取扱いについては、休息期間に24時間を加算して得た連続した時間とされています。ただし、いかなる場合でも30時間を下回ってはいけません。そのため、通常勤務の場合は継続33時間(9時間+24時間)、隔日勤務の場合は継続44時間(20時間+24時間)を下回らないようにする必要があります。
転職を考える上で考慮すべきポイントはたくさん。愛知県でバス運転手への転職を検討しているなら、企業規模と給料と福利厚生に注目することが、本当の安定性に繋がります。おすすめの3社を厳選しました。
ホワイトな労働環境で
安心して経験が積める
豊栄交通
給与 | 32万円〜 歩合制のため平均値 |
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年間休日 | 121日程度 |
職種の数 | 4種類(送迎・路線・貸切・観光) |
愛知の交通網を
大きくカバーする企業規模
名鉄バス
給与 | 月給19万円 +各種手当 |
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年間休日 | 121日程度 |
職種の数 | 5種類(路線・高速・送迎・貸切・空港) |
遠方からの転職も歓迎
充実したサポート
三重交通
引用元:三重交通公式サイト https://www.sanco.co.jp/company/recruit/lp/all/
給与 | 196,480円〜 +各種手当 |
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年間休日 | 107日 |
職種の数 | 4種類(路線・貸切・観光・空港) |
【選定基準】
愛知県バス協会に加盟する会社のうち、公式HPがあり、正社員採用を行っている会社の内、対応バス職種数が4つ以上かつ所有バス台数の多い3社(2021年8月24日時点)
※会社規模=バス事業の大きさと定義し、保有バス台数と対応できるバス運転手の職種の数に注目しました。