副業時代と呼ばれている現代社会では、副業を実践している人も多いでしょう。そこで、バス運転手は副業が可能なのかをまとめています。バス運転手として副業に興味のある方は要チェックです。
結論からお伝えすると、バス運転手の副業の可否はバス会社によって異なります。副業を許可しているバス会社もあれば、副業を禁止しているバス会社もあります。ただし、副業を認めているバス会社ではあっても、副業の内容によっては許可を出さないケースがあります。許可が出ない副業の例として、睡眠時間に影響を及ぼす副業があげられます。バス運転手として、何より心掛けなければならないのは安全運転です。副業を頑張ったことで、安全に支障をきたすような事態を引き起こすようでは、バス会社としても副業を容認する訳にはいかないでしょう。副業を認めているバス会社も、体調や本業に影響を与えない副業であれば禁止にすることはないでしょう。
例えば、許可されやすい副業としては、本業の出勤前後の時間や休日に、自宅で完結するような作業が挙げられます。具体的には、データ入力、Webライティング、プログラミング、または趣味の延長線上にあるハンドメイド作品のネット販売など、自身の裁量で労働時間を調整しやすいものです。これらは、肉体的な疲労が少なく、夜間の十分な睡眠時間を確保しやすいと判断される傾向にあります。
一方で、許可が得られにくい、あるいは明確に禁止されている副業の代表例は、本業の「安全運転」を脅かす可能性のあるものです。例えば、深夜帯に及ぶコンビニエンスストアでのアルバイト、引っ越し作業や工事現場などの重労働、そして本業と同じ「運転」であっても、夜間の長距離配送トラックの運転などは、本業の乗務に影響が出ると見なされ、許可されないケースがほとんどです。
そもそもバス会社が副業に慎重なのは、単なる社内ルールに留まらず、乗客の命を預かるという業務の特殊性と、国の定める指針が関係しています。厚生労働省は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」において、運転手の拘束時間や休息期間について厳格な基準を設けています。副業によってこの休息期間が適切に確保されず、運転手の疲労が蓄積することは、重大事故に直結するリスクとなります。
また、バス運転手と一口に言っても、所属先が「民営」か「公営(市バス、都バスなど)」かによって、副業の可否は根本的に異なります。公営バスの運転手は「地方公務員」にあたるため、原則として営利目的の副業は厳しく制限されています(任命権者の許可が必要)。民営企業のバス運転手は「労働者」として、副業は就業規則の範囲内で検討されますが、公務員の場合は法律による制限が前提となるため、ハードルは高くなります。
バス運転手の副業に関して、雇用契約や就業規則次第ではありますが、貸し切りバスの長距離ドライバーは副業NGのケースが多いです。やはり睡眠不足を懸念してのもので、特に貸し切りバスの場合、お客を乗せるのでお客にもしものことがあったら会社の信頼に関わります。
この「睡眠不足」とは、単に時間が短いことだけを指すのではありません。たとえ副業の時間が短くても、精神的な緊張を強いる仕事(例えば、クレーム対応が多い業務や、高いノルマが課せられる営業職など)であった場合、心身が休まらず、結果として本業の運転中の集中力低下や判断ミスを招く恐れがあります。バス運転手には、常に冷静沈着な状況判断が求められるため、精神的な疲労の蓄積も、会社としては看過できないのです。ですが、バス会社次第という面はありますので、就業規則を確認してみましょう。
本業であるバスの運転に支障をきたさない副業がおすすめです。
例えば、コールセンターや事務といったデスクワーク、単発の軽作業バイトなどが該当します。また、スキルを活かすという点では、副業で別のドライバー業務をこなすという選択肢もあります。新しいことを覚える必要がありませんので、副業にも馴染みやすいでしょう。
ただし、「副業で別のドライバー業務をこなす」という選択肢は、慎重な検討が必要です。確かにスキルは活かせますが、前述の「改善基準告示」は、複数の事業場で運転業務に従事する場合、労働時間を「通算」して管理することを求めています。本業のバス会社がこの通算管理を適切に行えない場合、法令違反となるリスクがあるため、同業種の副業は許可されにくいか、許可されたとしても厳格な時間管理を求められるでしょう。
副業の可否はバス会社次第です。そのため、副業を検討しているバス運転手の方は、就業規定をチェックしてみましょう。就業規定で認められているのであれば、副業を行っても何ら問題はありませんが、あくまでも「副業」なので、本業に支障をきたさないよう配慮しましょう。
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※会社規模=バス事業の大きさと定義し、保有バス台数と対応できるバス運転手の職種の数に注目しました。